今回は「元女子高生、パパになる/杉山文野」を紹介しますね。
元女子高生、パパになるは、性同一性障害当事者の杉山文野さんが歩んできた人生をギュッと濃縮した一冊。
本を手に取ると最初に目につく、赤ちゃんを抱っこした優しそうな男性。
この男性こそが著者の杉山文野さんですよ。
「セーラー服を着ていた。」「え?どういうこと?」と驚いたそこのあなた。
「元女子高生、パパになる」を読み、自分のなかの普通の定義を考えなおしてみてください。
もちろん、すでにLGBTQを知っている人が呼んでも新しい気付きがあるので、どんどん自分の知識をアップデートして行きましょう。
自分らしく生きるヒントがこの本にはたくさん詰まっていますよ。
元女子高生、パパになるのあらすじ
杉山文野さんにとって2冊目となる本書。
1冊目は2006年に書かれたダブルハッピネス。
ダブルハッピネスは幼少期から大学を卒業するまでが描かれています。
ダブルハッピネスはこちらの記事で紹介していますよ
今回の「元女子高生、パパになる」は、学生から社会人、活動家、父親となった現在にいたるまで15年の奮闘記です。
全体が5つのパートに分かれています。
- 彼女のこと
- 親、活動のこと
- 東京レインボープライド
- 同性パートナーシップ条例
- ファミリーのこと
時系列に自身に起きたこと、そのとき何を感じたのか赤裸々に書かれていると感じました。
いい面ばかりにスポットライトをあてるのではなく、LGBTQムーブメントの顔として先頭を走り続けるからぶつかる困難も具体的に載っています。
ニュースで見かける印象と違った印象を抱く人も多いのではないでしょうか。
子どもを授かられた経緯はこの記事で触れません。簡単にまとめられる事柄ではないので。
元女子高生、パパになる「好きな場面TOP3」
ここからは僕が好きな場面を3つ紹介します。
第1位「行けるときに、行けるとこまで行きなさい」
「行けるときに行けるとこまで行くことよ。細かいことは後からちゃんと修正すればいいから」行けるときに、行けるとこまで行けばいい。なるほど!確かにいきなり全員が満足することはできないかもしれない。でも全体を良くすることはできる。そのためにも、勢いがある時に、行けるとこまで行くのは大切かもしれない。
本文P105より
仕事でも同じことが言える。成果を出すと、ハードルが高くなっていく。
同時にプレッシャーも大きくなる。
遠くのゴールばかり見て、足元がおろそかになっていないか不安を抱いてしまう。
でも、あとで修正すれば大丈夫。
「行けるときに、行けるとこまで行けばいい」この言葉のおかげで、少し肩の荷が下りました。
第2位「世界一周の逃避行」
自分の嫌な部分や弱い部分、現実から目を背け、自分を一番受け入れられていなかったのは他ならぬ自分自身だったことに気づいた。世界中どこにいても、僕は僕自身と共に生きていかなければいけない、というとてもシンプルな答えにたどり着けたのだ。
本文P27より
グサッといい意味で胸に突き刺さりました。似たような感覚を高校3年生のとき感じたため。
人生を終わらせたいと考えているとき、誰かのせいにしていたけど「自分のことは自分が受け入れないとダメだ」ってことに気づきました。
自分を好きになろうって考えになってから人生が激変しましたよ。
第3位「深夜のスマホ」
この5年間、こっそり携帯やスマホを見たことなど一度もない。そんなの、マナー違反だ。やってはいけないことだ。ただ、このときは……虫の知らせとでも言うのだろうか、なぜか無性に気になってしまったのだ。ちょっとだけ……。
本文P162より
LGBTQの活動家としてずっと第一線を走っている姿しか知らなかったので「文野さんにもこんな一面があったんだ」と新しい姿をほんの少し垣間見えた場面。
「ちょっとだけ……。」の続きは元女子高生、パパになるを自分で読んで確認してください(笑)
顔:このブログ読者で「好きな場面を教えてもいいよ」って人がいたらInstagramに連絡ください。
著者の杉山文野さん
著者、杉山文野さんのプロフィールはこちら。
1981年東京都生まれ。フェンシング元女子日本代表。
早稲田大学大学院にてジェンダー論を学んだ後、その研究内容と性同一性障害と診断を受けた自身の体験を織り交ぜた『ダブルハッピネス』を講談社より出版。2年間のバックパッカー生活で世界約50カ国+南極を巡り、現地で様々な社会問題と向き合う。一般企業に3年ほど勤め独立。現在は日本最大のLGBTプライドパレードである特定非営利活動法人 東京レインボープライド共同代表理事、セクシュアル・マイノリティの子供たちをサポートするNPO法人ハートをつなごう学校代表、各地での講演会やメディア出演など活動は多義にわたる。
newcanvasより
僕が大学生のころ「文野さんに会いたい」と思い、講演会に参加したとき一緒に撮ってもらった1枚です。
僕が22才くらいの写真。懐かしいです!
感想
LGBTQの人もそうでない人も、わざわざ線引きする必要もない。
社会が変わるには途方も無い時間がかかる。でも、時間を短縮する方法もあります。
それは「人の温かさ」だと本書を読んで感じました。
個人の持つ温かさを最大化するリーダーがいれば、想像以上のスピードで必ず社会は動く。
想像力を持って未来を共有。
もちろん、リーダーだけの力ではまだまだ足りないことがある。
自分は世の中に対して何が出来るのか。立ち止まって考えるきっかけになりました。
乙武洋匡さんが杉山文野さんと協力して書かれた小説「ヒゲとナプキン」もオススメです。
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