カミングアウトの予定は無かった。埋没生活を送るありまさん[トランスジェンダー×仕事vol.8]

トランスジェンダーと仕事をテーマに「当事者で就職・転職活動を経験した先輩」へのインタビュー企画。

トランスジェンダーよくある仕事の疑問
  • 仕事につけるの?
  • カミングアウトのタイミングは?
  • そもそもカミングアウトはする?
  • 一部の人だけに伝えたい?埋没派?
  • 履歴書の性別欄はどっち?
  • 服装は?化粧は?

トランスジェンダー当事者が就活や転職に感じる疑問や不安を解消できたらと思い、インタビューをはじめました。

先輩の実体験を聞くことで、具体的にどんなことに気をつけたらいいのか、何をいつまでに準備したらいいのか、転職本に載っていない生の声を届けます。

もちろん、良かった点だけでなく「失敗したな」という意見も、隠さずに書いていきますよ。

今回は社会福祉法人で生活支援員として働いているありまさんに「トランスジェンダーと就職」のお話を聞いてきました。

ありまさんってどんな人?

本日はよろしくお願いします。まずはじめに簡単な自己紹介をお願いします。

こちらこそよろしくお願いします!
僕の場合、就活という就活をした記憶がなくイレギュラーな話になるかも知れません(笑)

ありまさんのプロフィール

1993年生まれ。

京都の四年制大学を卒業(2016)

新卒で大阪の社会福祉法人へ入職。(2016.4-)
現在5年目。

治療歴

ありまさんはトランスジェンダー FTM(女→男)で簡単な治療歴を教えてください。

高校3年生のころにカウンセリングがスタート。
大学1回生からホルモン注射と改名行いました。

そして、20才のとき国内で上下同時に手術を受け戸籍上の性別変更が完了しました。

20才での性別変更は早いですね!

親の理解があり比較的早い年齢で性別変更が出来て良かったと思っています!

業界職種、目指した会社の規模は?

就活をスタートするときに、目指した業界職種や会社の規模を教えて下さい。

福祉業界1本で考えていました。

福祉業界を志望した理由はありますか?

最初はカウンセラーになりたいと考えていたんです。
しかし、そのためには大学院に行く必要があり金銭面などから難しいとなりました。

そこで、興味のあった精神保健福祉士の資格を取得して相談員の仕事をしたいなと思うようになりました。
資格取得に向けて授業の組み方があり、大学1回生のころには福祉業界という方向性を決めていましたね。

大学1回生で方向性が決まるのはスゴイですね!僕は方向性がブレブレだった記憶が…笑

就職活動で「LGBTフレンドリー企業」を意識したか?

ありまさんが就活をするときはLGBTフレンドリー企業を意識しましたか?

LGBTフレンドリー企業を意識したことはありませんね。
20才で戸籍上の性別変更が終わっていたのもあり、自身のセクシュアリティを意識しませんでした。

当時はLGBTフレンドリー企業の存在も知りませんでした。

僕とありまさんは1才違いで、確かにLGBTフレンドリー企業の存在は無かったですね。

就活の履歴書

戸籍上の性別変更を終えての就活ですが、ありまさんの履歴書はどう書きましたか?

男性として働くつもりだったので、履歴書の記入も悩むことなく改名後の名前を書き、性別欄は男性に丸をしました。

大学生のころから埋没生活を送っていて、職場でのカミングアウトも一切考えていませんでした。

実習先への就職

現在の就職先にはどんな風に出会いましたか?

実は世間一般でイメージされている就職活動はしたことがありません。

イレギュラーな就活ということですね

精神保健福祉士の資格取得のための実習で訪問した社会福祉法人で働くことになったんです!
もしかしたら、この記事を読んでいる人の参考にならないかも知れません(笑)

いやいや、そんなことありませんよ。実習先に就職した人がいるという実体験の紹介になります。

カミングアウトの有無

カミングアウトをせず埋没生活だと言うことですが、今の職場でセクシュアリティについて話した人はいますか?

仲のいい上司2人に伝えました。

最初はカミングアウトの予定なんてありませんでした。
お金と時間をかけ痛い思いをしてまで性別を変えたのに、わざわざ公表する必要性を感じません。

なぜカミングアウト「しよう」と思いましたか?

カミングアウトのきっかけを教えてください。

仕事を通して信頼・尊敬できる存在になった点が大きいですね。

仕事上での旅行があり、万が一自分のセクシュアリティについてトラブルがあったとき、力になってもらえるなとも思いました。

信頼できる上司の存在、素敵ですね。

カミングアウト後の反応は?

カミングアウトしたときの上司の反応はどうでしたか?

そこまで驚いた様子もなく「大変だったねー」と声をかけてもらいました。
カミングアウトのおかげか分かりませんが、上司の自宅に泊まりに行くくらい仲はいいですね(笑)

特別な反応を求めてた訳ではないので、カミングアウトしても変わらない関係性がありがたいです。

「特別な反応を求めていない」きっと他の当事者にも言えることですね。

いま仕事について悩んでいる人へのメッセージ

それでは最後に、これから就職活動に挑む方に向けて一言お願いします!

LGBTフレンドリーだと発信のある会社は少ない世の中ですが、きっと社内にはアライとなってくれる人はいます。

仕事に就くことで社内環境が分かることもあるので、セクシュアリティを理由に就職を諦めず頑張ってください!!!

ありまさん貴重なお話ありがとうございました!

まとめ

今回はトランス男性の体験をインタビューしました。

就職活動だけが就職への道ではなく、実習先に勤務するこれまでのインタビューにはない体験。

一人ひとりいろんな就職の仕方があるなと参考になりました。

当事者全員が同じ境遇とは言えませんが、これから就活に挑む方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

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